錫器の取扱い
光沢系の錫器は傷の付きやすい(目立ちやすい)金属ですので、漆器と同様に扱って頂ければと思います。
取扱いの注意点
- 直火にかけない。熔けます。
- 火の間近、食器乾燥機、冷凍庫(氷点下状況下)で長時間放置しない。細長い形状や薄いものは変形する場合があります。
- 洗浄後は水滴を拭きとり保管する。長い時間放置するとシミの原因となる場合があります。
- 酢のような酸性の液体が付着したまま長時間放置すると跡が残ります。一般的な食事後に放置しないで洗浄すれば問題はありません。
- 塩(塩化ナトリウム)が付着したまま放置すると黒くなり中に塩が食い込みます。盛り塩などは間に和紙を敷くなりした方が良いです。
- 氷点下での長時間の放置で、錫組織が部分的に黒く壊滅する場合があります。冷凍庫で一瞬急冷して使う程度では大丈夫です。(スズペスト。ナポレオンのボタン)
保管時の注意点
保管する際は、錫器同士を直接重ねると、擦れ傷による照りが発生することがありますので、間にクッションシートや軟らかい紙か布を挟まれることを強くお勧めします。
古色が出て使い込まれた錫器は直接重ね合わせても、ほぼ擦れ傷が目立つようなことはありません。
手入れ方法
錫器はガラス器と同様の手入れ方法となります。洗浄は、一般家庭でご使用の中性洗剤と柔らかいスポンジで力を入れずに軽く洗います。金属器は全て穴痔ですが、洗浄後に水滴が付いたまま乾燥させると水滴跡がシミになる場合がありますので、柔らかい布で拭き取ってから自然乾燥して下さい。
簡単な磨き方
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メラミンフォーム |
汚れが通常の洗浄で取れない場合は、市販のメラミンフォーム(「洗剤の要らないスポンジ」、「激落ち君」等)に水を含ませ軽く擦り、水洗いの後、柔らかい布で水滴を拭き取り自然乾燥します。
このメラミンフォームは酸化皮膜まで落とすこと無く、汚れを効果的に取り除く事が出来ます。尚、細かく研磨力は強いため、あまり強く擦ると光沢が出てしまい、光沢系の表情でない場合は均一に磨きがかかり、元の表情を失うことがあります。光沢が出過ぎた場合や、光沢の無い石目模様などの磨きには、少量の水を加えたクリームクレンザーを軽く擦り込み研磨します。
※1日体験講座でも指導しています。
古色の趣
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100年以上経過の古色 |
錫は酸化による経年変化は金属の中では遅く、通常の使用では何十年も経たないと黒ずみません。時間が作る色は人工では出せない趣があります。又、特性上、傷が付き易い金属ですが、それも古色と共に使い込みによる味となります。
拝見時の心得
錫器に限らず、器、品物の拝見時の礼儀です。
- 両手で持ち、あまり台(設置面)から離さない。
- 金属製の指輪やブレスレッド、時計は外して品物を手に取る。
品物を落としたり傷をつけない、所有者に対して不安感を与えない配慮は不可欠です。又、陶器の焼け具合を陶芸家が確かめるように爪で弾いて音を確かめるのは、錫の器には無意味です。